Vol.49_エースラボ所長サワダはこんなに論理的で緻密でイケてるのに、どうしてこんなにヌケてるの?

今回も自らの恥を晒すような内容です。

・長期的な視野に立ち、エースユナイテッドグループのトップとして将来を見据えた方針について考えを巡らせ、役員、幹部の様々な意見をも取り入れながら調整し、同意に導く。

・エースラボ所長として顧客を訪問し、中小企業特有の経営(財務、資金)、業務上の課題(業務が明文化されていない、合理化されていない)を構造的に鋭く捉え、顧客やその担当者と伴走しながら解決に導く。

・2000社を超える法人が参加する所属団体の副会長として、幹部の立場、意見を調整し、スムーズな会の運営を可能にする。

少し照れますが、これらは私サワダが、なんの苦もなく行っている日常を、なるだけ客観的にとらえた姿です。

こんな時のサワダはわれながら論理的で緻密で、一部の隙も感じさせません(よね? 顧客の皆さん!)。

しかし一方では・・・・

朝出発前に忘れたハンカチを取りに一回自分の部屋に戻る。

これで大丈夫、と玄関を出て歩き出してから、忘れたスマホを取りに家に戻る。

事務所のトイレ掃除に熱中しすぎて、朝イチの顧客とのリモート面談に30分遅刻。

顧客とレストランで昼食、大切な手帳と財布のセットを席に忘れ、お勘定をしてくれた顧客が半笑いで持ってきてくれる。

夕方に会合出席のために乗り込んだローカル線の電車から降りてホームを歩いていると、妙に身軽な自分に気づき、慌てて網棚に置いた上着を取りに戻る(停車時間が長くて助かりました)。

これも私、サワダの1日の内におこる、わりと平均的なトラブルの数々です。

先ほどの仕事ぶりとちがって、なんとも苦労がたえないと言うか、生きづらい、というか・・・

他にもゴルフに行くのにパターやウェッジなどわりと大事なクラブを忘れたり、シューズを忘れたり・・・。

特に、予定を忘れることは本当に多くて

ミニセミナーの講師を頼まれてたのを忘れ、どこかで倒れているんじゃないかと安否確認の連絡が山と来る。

逆に頼まれてた日より1日早く行ってしまい、スゴスゴ新幹線で戻る。

大切な顧客との初面談を忘れていて600km離れた先方から連絡が来たが、当然もう間に合わず、冷や汗をかく。

さっきゴルフ道具を忘れる話を書きましたが、実際にはゴルフの予定そのものを忘れて事務所で仕事をしていたことも過去2回あります。

とても同じ人間のしていることには思えません。

前にも書きましたが、一時はこんな自分のヌケている部分を隠そうと必死だった時期もあります。

しかし、年齢のせいか段々とそんなごまかしも効かなくなりボロが出始めて、仕方がないので、隠さず堂々と出すようになってきました。

とはいえ、お客様には絶対迷惑はかけられませんので、最近はラボの事務スタッフにお願いして、スケジュール帳やアプリのダブルチェックをお願いすることで、お仕事上のパフォーマンスは引き続き卓越した成果(?)を残せています。

まあそんなわけで、なんとかラボを切り盛りできていて、お客様のお役に立っているという強い自負を持って毎日を過ごしているんですが・・

「そんなに自分で言うほど緻密なサワダなら、忘れ物や予定忘れをしないことなんて簡単なことじゃないの?なぜそれができないの??」

そんな読者の皆様からの素朴な疑問の声が聞こえてきます。

実際にセミナー講師をすっ飛ばしたときは主催者から

「いったい・・何をどうやったら、こういうことになるんですか?」

「貴方は予定をスケジュール帳に書くという習慣がないのですか?」

とキツーいお叱りを受けました(当たり前)。

ほんとに一体どうなっているんだろう?とわれながら悩みます。

しかし、最近になって私はあることに気づきました。

「あれ? これってもしかして順番が逆なんじゃない?」

「もしかしてサワダの緻密さや論理性は『獲得形質』なんじゃないの?」

空を飛べる、光合成ができるなど、生物が何らかの能力を持つにあたって、実はそうせざるを得ない、欠損や弱さが存在したという例があります。

鳥が羽毛を持つに至ったのは、最初から飛ぶためではなく、その祖先である獣脚類と呼ばれる恐竜の一部が、体温保持や抱卵(産んだ卵を抱いて温める)するためでした。

その獣脚類のうち、常に大型の生物から狙われていて、木の上に逃げてばかりだった小型の種類が枝から飛び降りなどしているうちに、少し腕の羽毛が多いタイプが滑空能力を身につけ、生き残ったものが結果的に翼を獲得したと考えられています。

また植物の光合成の重要な要素である葉緑体は、最初は酸素がほとんどない地球上で暮らす微生物に入り込んだ、シアノバクテリアという異物だったと考えられています。

当時の生き物にとっては猛毒の酸素を発生するシアノバクテリアにとりつかれた微生物はあらかた死んでしまいました。

しかし、なんとか体内に取り込むことに成功した一部の微生物は、光合成でデンプンなどの養分を作り出すシアノバクテリア(=葉緑体)を利用する植物性プランクトンとして生き残ります。

その結果、植物性プランクトンはその日暮らしの捕食活動から開放され、後の植物の大繁殖のいしずえとなります。

ここで結論を申し上げましょう。

つまり私サワダが論理的に緻密なのは先天的にそうなのではなく、「注意力散漫で忘れ物が非常に多い」ことをなんとかカバーして社会生活を営んでいくために、後天的に獲得した「形質」なのではないか、ということです。

つまり、「緻密で論理的なのにヌケている」のではなく「ヌケているからこそ緻密で論理的」になったということ。

そしていつの間にか、獲得した論理性がヌケていることを追い越して利点となり、経営者として一定の成果を出し、職業としてコンサルタントをするまでに至った、という訳です。

もしもサワダがかつてみずから願ったように、忘れ物をしない人間になった場合、サワダはその本質を失い、コンサルタントとしての進歩も止まってしまうのでしょう。

ですから、もしご縁があってエースラボと契約されて、サワダのそういうところに気がついても、「これがこの人のパワーの源泉なんだなぁ」というふうに、常に生暖かく見守っていただきたい、というのが「生命の進化」という何十億年という大きな視点から導き出された、サワダのお願いなわけです。

☆とても好意的な人は「サワダさんって一種のギフテッドですよね」と言ってくださるのですが、ここに書きました通りそんなすばらしいものではなく「アンギフテッド」と言ったほうが正しいのではないかと思います。「一日一忘」日々忘れ物の人生もなかなか大変なんです。