Vol.37_優先度別タスク管理の重要性 〜経営層はどのランクのタスクに注目すべきか?〜

このレターをお読みの皆さんはそれぞれの企業で、経営や管理など重要な職務についておられると思います。


で、当然のことながら、日々多種多様なタスク(作業・仕事・課題)に取り囲まれる毎日だと思います。


中にはあまりのタスクの多さに、休日中もその事が頭を離れず、ヘタしたらそのまま会社に行ってしまって、「隠れ休日出勤」なんてことになってる方も多いんじゃないでしょうか?


そこまでの重症じゃなくても、大抵のビジネスパーソンは慢性の「タスク過多症」に悩んでおられると拝察します。


そしてこの「タスク過多症」には、非常にシンプルで行ってしまえば身もふたもない原因があるんです。


それはできる人ほど、降ってくるタスクに比べて圧倒的に「仕事(ができる)時間」が短いこと(神様はだれにでも等しく1日24時間、それ以上を決してお与えくださいません)。


つまり「タスク過多症」は「時間欠乏症」の合併症みたいなものなのです。


悪いことに「タスク過多症」になるような有能な人ほど、自分の能力をさらに上げることで、事の解決を図ります。


しかし、さらに有能になってしまえば、それを上回るタスクがドドーンとスーパーセル(超巨大積乱雲)直下の雨量並みに降り注いでくるのは自明の理。


真面目な人だと、「自分株式会社の固定費」ともいえる睡眠時間や食事時間、リラックスタイムを削ってまでタスクの完遂にチャレンジしてしまいます。


その結果、体調を崩して休職といった「自分株式会社の経営危機」に陥ってしまう、というわけです。


そこまで行く人はごく一部ですが、あなた自身や身の回りにも


・道義上の理由から「先約優先」とばかりにタスクを発生順にこなして、あとから発生したが納期が早いタスクに手がつけられなくなっていたり


・タスクを締め切り順にこなすことで自転車操業に陥っている人
がいるんじゃないかと思います。


「優先順位をつけて」タスクに対処する、というところまでは良いんですが、もうひと押しして、


・仕事に使える時間は限られていて、あなたの時間容量を超えたタスクが存在する。


・その時間は現在から未来に流れていて、我々はその流れに乗っている。


という事実を直視することが重要なんじゃないかと思うわけです。


で、具体的な対処法ですが、まずタスクのチェックリストを作ります。


自分にふりかかっているタスクを箇条書きにして「見える化」するわけですね。


大抵の人はここまではやったことがあるんじゃないかと思います。


ここからが大事なのですが、リスト化したタスクを「4象限マトリクス」に振り分けます。


「4象限マトリクス」っていうとなんか難しそうに聞こえますが、なんのことはない、
「縦軸に緊急度、横軸に重要度をとって、その高低で4つのグループに分ける」というだけのことです。


そうすると


A.  緊急度も重要度も高い


( ) . 緊急度は高いがで重要度低い


( ) . 緊急度は低いが重要度は高い


D. 緊急度も重要度も低い


という4つのグループに分けられることになります。

このグループの中で真っ先に取り組むべきなのが緊急度も重要度も高い「タスクA」なのは当たり前のことですよね。

今、目の前でキッチンが火事になっているのに、ノンビリ朝ごはんを食べていて良いわけがありません。

「そんなもん、真っ先に対処すべきはタスクAで決まり!」 とミルクボーイも言ってます(言ってない)。

また緊急度も重要度も低い、タスクDの優先度が一番低いのも皆さんお考えの通りです。

何なら「やらなくても良い」、いや「やっちゃダメ」、せいぜい「気晴らしにちょっとはやってもいいかな」がタスクD。

「仕事に使える時間は限られていて、あなたの時間容量を超えたタスクが存在する。」するわけですから、オーバーフローさせるべきはタスクD。

これに手を付けると楽なのでつい習慣になりますが、夕飯の前につまらないお菓子を食べて、ごちそうが食べられなくなっては本末転倒ですからね。

「やらない」ことを決めるというのも大切な戦略だと思います。

・・・ではここでクイズです。

真っ先に対処すべきタスクAの次に優先度が高い「タスクB」は、

・緊急度は高いが重要度は低い(左上)

・緊急度は低いが重要度は高い(右下)

どちらでしょうか??

さてみなさんはどちらだと思いますか?

この質問に対して、私の経験上、10人中8人くらいは図で言うところの左上、「緊急度は高いが重要度は低い」が「タスクB」、と答えますね。

もしあなたも左上と思ったのなら、それがあなたが年中バタバタしていて余裕のない「小忙しいビジネリーダー」になってしまっている原因かもしれませんよ。

実は「緊急度は高いが重要度は低い(左上)」のは優先順位が下から2番めの「タスクC」なんです。

では「緊急度は低いが重要度は高い(右下)」が「タスクB」と正解できた、10人中2人の優秀なあなた!

「緊急度は低いが重要度は高い(右下)」ほうが「緊急度は高いが重要度は低い(左上)」より優先度が高い理由、「緊急度は高いが重要度は低い(左上)」ほうが「緊急度は低いが重要度は高い(右下)」より優先度が低い理由、を答えられますでしょうか?

感覚的にはわかってても、言葉で説明するのは意外と難しいでしょう?

実はここで最初にのべた「直視すべき現実」の2番め「時間は現在から未来に流れていて、我々はその流れに乗っている。」が関係してくるんです。

基本的に、タスクの重要度は時間の経過によって大きく変化することは少なく、緊急度だけは上がっていきます(締切が迫ってくるわけですから)。

つまり、「緊急度は低いが重要度は高い(右下)」タスクBを放っておくと、時間の経過とともにほぼ間違いなく、「緊急度も重要度も高い(右上)」タスクAに進化してしまうんです。

だから「緊急度は低いが重要度は高い(右下)」タスクBを2番めに優先すべきなんですね。

つまりタスクBがAになったときに、慌てず、手際よく、完了するために、Bのうちに早めに下ごしらえしておく必要があるのです。

タスクBは急いで仕上げることはありませんから、とにかく早めに着手しておいて、未完成のまま時が来るまでは熟成させておくことが大切です。

「研究しておく・情報を集めておく」というレベルでも構いません。

これをやっておけば、Aタスクは短い時間で完了させることが可能になり、リストにAタスクがあふれる心配もありません。

次に「緊急度は高いが重要度は低い(左上)」の優先順位がなぜ下から2番めなのか?

これはもしかすると「納得いかない」という人も多いかもしれません。

しかしここでも「タスクの重要度は時間の経過によって大きく変わることは少なく、時間の経過とともに緊急度だけが上がっていく」ことが関係してきます。

もちろんタスクCのもともと高い緊急度は締め切り直前までドンドン上がっていきますが、重要度そのものは相変わらず低いままです。

そして締め切りそのものが過ぎてしまえば、緊急度もゼロ(もちろんタスクの依頼主から怒られはするでしょうが)。

つまり、緊急度・重要度とも低い(左下)Dタスク以下になるか、せいぜいもう一度新しい締切が設定されてCタスクとして復活するのが関の山、というわけです。

もちろんこれは理論上のお話で、「だからタスクCは放っておいてもいい」という主張をしているわけではありません。

ただ、これをお読みの皆様には

タスクCは、ほんとに経営層や幹部であるあなたの仕事ですか?

タスクCは、自分よりコストの低い部下や、外注に頼んでしまえば済むものじゃないですか?

ということを申し上げたいのです。

(タスクCの中には放っておいても納期が来た段階で消えてなくなっている、かくれタスクDもあるとは思っています)

災害発生時などに多数の傷病者が発生した場合に、傷病の緊急度や重症度に応じて治療優先度を決めることを「トリアージ」と呼ぶそうですね。

「常在戦場」のみなさまにとっては、タスクのトリアージも大切だと思った次第です。

・・・さて、ここで皆さんが書いたタスクリストを見直してみてください。

まだ書かれていないタスクBが結構あるんじゃないですか?

私は世の中に顕在化されていないタスクBがあふれていて、それを顕在化、見える化して着手していくのが経営層や幹部の重要な仕事だと考えているわけです。

☆この記事は1年前、同じく「書かずにはいられない」Vol.23「ものぐさ流タスク完遂術(上級編)」として書いたことを、さらにボリュームアップして経営者向けに絞った内容でリライトしたものです。