ホールディンス化の光と影について、さらに私が欲張りにもコンサルタントを目指すきっかけになったちょっと変わった出会いについてお話していこうと思います。
2017年11月、私は父から引き継ぎ、長らく自らが代表取締役社長であったミカド電装商事株式会社を事業会社化し、自ら設立し代表に就任したホールディングス会社、エースユナイテッド株式会社の傘下に置きました。
この事業会社になったミカド電装商事の代表取締役社長を、常務だった1歳違いの実弟に譲り、私は会長になりました。まだ代表権は残していますが、金融関係の整理が終われば取締役に退く予定です。
その経緯については前回お話しましたので、今回はHD化して2年弱、感じるその光と影についてお話します。
ホールディングス化の光
1,意思決定の迅速化
これは本当に良かったと思っています。事業会社ミカド電装商事の業務上のところは私にいちいち初期段階から絡ませなくても新社長判断で進めていくことができることになりました。これで現社長は思い切った意思決定ができるようになりました。
中には私が作った仕組み(というよりは旧弊)をイチから変えるようなものもありますが、これは斯業経験が長かったしがらみだらけの私自身では決して出来なかったでしょう。
2,収益構造の見える化
基本一事業一会社になりますので収益構造がわかりやすくなり人員配置や予算配分をしやすくなりました。
経営指導や総務企画機能はHDが持ってますのでそのフィーを各事業会社に払ってもらうので、自分の給料分だけ稼ぐのがなぜダメなのか、社員もわかりやすいんじゃないかと思います。
もちろんHDのトップもなぜお給料をみんなに負担してもらっているのか説明できないといけません。
3,経営と所有の分離=会社承継上のオプション(選択肢)が増加
オプション1)一族に経営能力とその意志を持つものが現れたら、ホールディングスを引き継ぎ、経営・所有一体化で更に成長を目指す。
オプション2)一族が経営を望まずしかし会社の成長を求める場合は、経営は適任者に委託、株主として監督。
オプション3)一族が会社の所有も望まない場合は、事業会社を売却、ホールディングスは地主に移行。
まだどのオプションを選択するかは決まってませんが、「でなければならない」がないのでとても楽に経営できます。
4,ホールディングス化したことで「継続企業の前提」が担保され、社員は考え得る一番良い経営をうけられる体制に。
実は3項にはオプション4もありまして、「一族は株式をすべて売却し所有も放棄する」というものです。これが会社が潰れる以外の最悪のシナリオですが、事業は継承され、雇用も守られることになります。
いい事だらけに見えるホールディングス化、多少留意しなくてはならないところもあります。上記の光の部分にメリットを感じず、これから述べることが「やだなぁ」と思われる場合はホールディングス化は事業継承の選択肢から外したほうが良いと思います。
ホールディングス化の影
1,連結決算が必要に
ここは正直結構めんどいです。ご自身でやらないのでしたら、経理が分かる粘り強い優秀な総務部員、指導してくれる会計事務所が必要になります。
2,間接業務で重複作業が増える可能性が
事業会社ごとにこれまで一括でやっていた作業を繰り返す必要があり、決算だけではなく日々の経理業務も煩雑になります。ここはIT(WEBサービス)を十分活用して解決していく必要があります。IT投資はとにかくローコストです。小企業が大手に立ち向かうために絶対に必要な武器だと思っています。
3,財務面で透明性を問われる
複数の会社を持つと必ず不正経理の懸念が発生します。実際の粉飾決算も決算期の違う子会社を使う事例は引きも切りません。
少し苦しい時も金融機関や市場に疑われることを絶対しない覚悟が必要です。
いかがでしたでしょう。
書き出してみて、影のほうが光より一個少なくて少しホッとしました。
「向こう岸 見てるだけでは渡れない」小篠綾子(コシノ三姉妹の母)
ぜひご検討してみてください。
さて、次回は私がHD化の一年後に体験した不思議な出会いについて書かせていただきます。
私はこの出会いのおかげで人生の目的を、単に「事業を承継する人」から、「承継を通じて未来に良いものをのこす事を自ら目指し、伝える人」に変えることが出来ました。
それでまあ、こんなレターを書いているわけですね。